太陽光発電は名前の通り太陽の光をエネルギー源にした発電方法です。
太陽光パネルはシリコンなどの素材で作られた異なる2つの半導体を重ね合わせたものに電極を設け、回路を構築したシンプルな構造です。
この半導体に太陽光が照射されると光電効果(光起電力効果)により回路に電流が流れ、電気が生じます。

太陽電池によって作られた電気は、接続箱(接続ユニット)、パワーコンディショナー、分電盤を通って、家の照明設備や各コンセント、また電力会社の送配電設備へ流れていきます。

この半導体を太陽電池と呼びます。電気をためることができる電池と誤解されますが、太陽電池には電気をためる機能はありません。

売電価格と設置費用

太陽光発電の売電価格は、固定価格買取制度(FIT制度)開始以来年々下がってきました。

固定価格買取制度開始当初(平成24年度)10kW以上40円あった売電価格も、2020年2月現在10kW以上50kW未満 13円と大きく値を下げています。

売電価格だけを見ると、一見今さら太陽光発電システムを導入すると損をしてしまうよな気がしますが、「売電価格が年々下がる」と同時に「設備費用(イニシャルコスト)も年々下がっている」事も把握しましょう。

 

2020年2月現在では、固定価格買取制度が始まった当初と比べて同じ規模の太陽光発電が半額以下、条件次第では2分の1に近い価格で設置できるようになってきました。

その背景には、製造技術の進歩による生産コストの低下だけではなく、災害による非常用電源の必要性の高まり、売電などのメリットの市場浸透により、太陽光発電の設置が増えているためと考えられます。

表はあくまでも「平均」の金額となので、メーカーによっては実際にはもっと低い金額で設置が可能な場合があります。

 

一般家庭で導入が多いといわれている4.5kWの住宅用太陽光発電を設置した場合の初期費用は、
25万円(キロワット単価) × 4.5kW(設置容量) = 112.5万円(設置費用)計算できます。
よって、売電価格が低下した現在でも投資回収期間はFIT開始機(2011年)と変わりません。

電気料金の推移

 

2014年度の電気料金は東日本大震災前の2010年に比べ、家庭向けでは約25%、産業向けでは約38%上昇しました。

2014年度以降は下落していたものの、直近では再び上昇し、東日本大震災前に比べ家庭向けで約16%、産業向けでは約21%高い水準です。

2人以上が暮らす世帯の1カ月あたり電力使用料は、電気料金の値上げによって1カ月あたりの電気代は震災前の9,850円から11,203円へ13.7%増加となっております。
(出典:資源エネルギー庁)

電気料金の値上げの原因には「原油価格の高騰による電気の単価の上昇」「再生可能エネルギー賦課金の単価の上昇」があげられます。

「原油価格の高騰による電気の単価の上昇」
中東情勢や産出国の政情不安・紛争などの地政学的リスクによって大きな影響を受け、原油価格に左右されます。

「再生可能エネルギー賦課金の単価の上昇」
これは、再生可能エネルギーの普及を目的として「電気料金を支払っている方全員に一律に上乗せで課されている料金」です。
再生可能エネルギーの普及に伴って年々単価が上昇し続けており、導入当時(2012年)0.22円だったのが、2020年には2.98円と約13倍もの値上げです。

太陽光発電は自家消費の時代へ

これまで太陽光発電は、電気を余らせて売った方がお得な「売電の時代」でたが、
2020年度以降は発電した電気を自家消費した方がお得な 「自家消費の時代」になります。

2021年度(令和3年度)の売電価格
10kw未満 19円/kwh(税込)
10~50kw未満 12円/kwh(税抜)
50~250kw未満 12円/kwh(税抜)

上記でも説明したように、2020度には太陽光を設置する場合の固定買取価格が21円となり買電価格を下回りまわりました。
2021年度に至っては20円を切り、19円/kwhです。
また、2019年11月からは固定価格買取期間が終了する人が出てきており(2019年問題)、固定買取期間終了後の売電価格は買電価格を下回まります。
つまは、 売電価格が買電価格より安いため、自家消費電力が大きいほどお得になります。

今後は太陽光発電の経済メリットを増やすために、「  家庭用蓄電池 」「  電気自動車(V2H) 」「  エコキュート 」といった機器との併用がマストになってくるかもしれません。

PPAモデル

本来のPPAとは、電力の売電事業者と需要者(主に企業など)を直接つなぎ、電力の売り買いをする仕組みをさします。
しかし日本のPPAモデルは、 0円で太陽光発電を設置できるビジネスモデルを指します。

PPA事業者と呼ばれる電力会社から、0円でご自宅の屋根に太陽光発電を設置してもらいます。
そしてこの0円で設置した太陽光発電から生み出された電力を、家庭ではPPA事業者から割安で買い取ります。

つまり、太陽光発電を設置する場所を提供するだけで、太陽光発電の設備自体はPPA事業者の所有物です。
発電した電力は無料で使用することはできず、事業者から買い取ります。
契約期間中はもちろん無償でメンテナンスをしてもらえ、契約期間を終えると、太陽光発電設備はすべて家庭に譲渡されます。

通常個人宅の場合でも100~200万円の費用がかかる太陽光発電の導入費が0円になりかつ電気代が格安で使えるのであれば、金銭面で太陽光発電の導入を躊躇している家庭にはオススメです。